「ねぇ、美琴ちゃん、僕ならもっといいドレスが着せてあげられる。僕と結婚したら仕事なんてしなくても贅沢な暮らしができるんだよ。みじめな生活を続ける必要もなくなるんだ。いいと思わないか?」
耳元で囁かれ、身体中に一気に寒気が走る。
「……っ、いやっ……」
身をすくめた瞬間、掴まれていた二の腕が解放される。
「――俺の婚約者に何か用ですか?」
遥臣が智明の横に立ち、手首を捻り上げていた。
「遥臣さん……っ」
「……っ、放せ」
痛みに顔を歪める智明に対して、遥臣は怖いくらいに無表情だ。美琴が慌てて遥臣の後ろに回ると彼は手を離し、美琴を庇うように立った。
「無礼な。僕は篠宮家の人間で彼女の親戚だ。別に構わないだろう」
手首を擦りながら睨んでくる智明を遥臣は一蹴した。
「彼女を怯えさせていい理由にはなりません」
「あぁ、だれかと思ったら君は瀬戸の……おかしいな。もうとっくの昔に君たちの婚約は破棄されてるのに」
智明はわざとらしく首を傾げる。
「それに、美琴ちゃんは僕のお嫁さんになるんだ。ねぇ、美琴ちゃん?」
耳元で囁かれ、身体中に一気に寒気が走る。
「……っ、いやっ……」
身をすくめた瞬間、掴まれていた二の腕が解放される。
「――俺の婚約者に何か用ですか?」
遥臣が智明の横に立ち、手首を捻り上げていた。
「遥臣さん……っ」
「……っ、放せ」
痛みに顔を歪める智明に対して、遥臣は怖いくらいに無表情だ。美琴が慌てて遥臣の後ろに回ると彼は手を離し、美琴を庇うように立った。
「無礼な。僕は篠宮家の人間で彼女の親戚だ。別に構わないだろう」
手首を擦りながら睨んでくる智明を遥臣は一蹴した。
「彼女を怯えさせていい理由にはなりません」
「あぁ、だれかと思ったら君は瀬戸の……おかしいな。もうとっくの昔に君たちの婚約は破棄されてるのに」
智明はわざとらしく首を傾げる。
「それに、美琴ちゃんは僕のお嫁さんになるんだ。ねぇ、美琴ちゃん?」



