小声で返事をする美琴。外科部長の岸谷は病院内で院長に次ぐほどの力を持つ人物だと聞いていた。
「瀬戸先生! 病院一のモテ男のハートを射止めた噂の女性を紹介されにきたぞ!」
岸谷はおおらかな性格のようだ。遥臣の背中をバンと叩き豪快に笑う。
遥臣は「岸谷先生、もう酒が回ってるんですか」と笑ったあと、美琴を紹介した。
「婚約者の平林美琴さんです。美琴さん、こちら外科部長の岸谷先生」
「初めまして、平林美琴と申します。遥臣さんから岸谷先生にはいつもお世話になっていると聞いておりましたので、お会いできて光栄です」
美琴ができるだけ上品な笑顔を意識して挨拶すると、岸谷は「おお……」と目を丸くした。
「これはまた、美しい女性じゃないか」
「先生はお上手でいらっしゃるんですね」
こういう場のお世辞に対しては必要以上に否定も肯定もしない。昔身に着けた受け答えが自然とできた。
「そういえば、ちょうど先日、岸谷先生の書かれた記事を拝見しました」
美琴は今思い出したような顔をして、ある医療雑誌名を上げる。
「瀬戸先生! 病院一のモテ男のハートを射止めた噂の女性を紹介されにきたぞ!」
岸谷はおおらかな性格のようだ。遥臣の背中をバンと叩き豪快に笑う。
遥臣は「岸谷先生、もう酒が回ってるんですか」と笑ったあと、美琴を紹介した。
「婚約者の平林美琴さんです。美琴さん、こちら外科部長の岸谷先生」
「初めまして、平林美琴と申します。遥臣さんから岸谷先生にはいつもお世話になっていると聞いておりましたので、お会いできて光栄です」
美琴ができるだけ上品な笑顔を意識して挨拶すると、岸谷は「おお……」と目を丸くした。
「これはまた、美しい女性じゃないか」
「先生はお上手でいらっしゃるんですね」
こういう場のお世辞に対しては必要以上に否定も肯定もしない。昔身に着けた受け答えが自然とできた。
「そういえば、ちょうど先日、岸谷先生の書かれた記事を拝見しました」
美琴は今思い出したような顔をして、ある医療雑誌名を上げる。



