アクセサリーもドレスに合わせたものが準備されており、すべてを身に着ける。
「まあ、とてもお似合いです! このクラスのドレスになると、着こなすのが難しかったりするのですが、お客様は当然のように自分のものにされてますね」
「あ、ありがとうございます」
久しぶりに身に纏ったドレス。サロンのスタッフの営業トークに乗せられ、つい頬が緩む。
(……浮かれてる場合じゃない。私は役目を果たすためにここに来てるんだから)
美琴は姿見に映る自分の顔を睨みつけ、気合を入れた。
約束の時刻にロビーに行くと、既に遥臣の姿があった。
片手をポケットに入れ、手元のスマートフォンに軽く視線を落としているブラックフォーマルの立ち姿はモデル顔負けだ。通りすがる女性たちが思わず目を奪われているのもわかる。
このあと彼の婚約者を演じなければいけないと思うと気が重い。
(逃げたい……だめだめ、約束は約束なんだから)
己を叱咤した美琴は遥臣に近づき声を掛けた。
「遥臣さん、お待たせしてすみません」
「いや、待ってな――」
顔を上げた遥臣はこちらを見て、驚いたように目を見開いた。
「遥臣さん?」
「まあ、とてもお似合いです! このクラスのドレスになると、着こなすのが難しかったりするのですが、お客様は当然のように自分のものにされてますね」
「あ、ありがとうございます」
久しぶりに身に纏ったドレス。サロンのスタッフの営業トークに乗せられ、つい頬が緩む。
(……浮かれてる場合じゃない。私は役目を果たすためにここに来てるんだから)
美琴は姿見に映る自分の顔を睨みつけ、気合を入れた。
約束の時刻にロビーに行くと、既に遥臣の姿があった。
片手をポケットに入れ、手元のスマートフォンに軽く視線を落としているブラックフォーマルの立ち姿はモデル顔負けだ。通りすがる女性たちが思わず目を奪われているのもわかる。
このあと彼の婚約者を演じなければいけないと思うと気が重い。
(逃げたい……だめだめ、約束は約束なんだから)
己を叱咤した美琴は遥臣に近づき声を掛けた。
「遥臣さん、お待たせしてすみません」
「いや、待ってな――」
顔を上げた遥臣はこちらを見て、驚いたように目を見開いた。
「遥臣さん?」



