いつも明るく元気のある彼女が脳の病気で入院したと聞いたときはかなり驚いたし、心配した。でもこうして元気な様子を見ていると安心する。

「そういえばみこっち、新しい仕事見つかった?」

 突然痛いところを突かれ、言葉に詰まる。

「……まあ、すぐにはなかなかね」

 美琴が苦笑して濁すと、陽菜は口を尖がらせた。

「もー、なんで、みこっちが辞めさせられたんだろ。クラスのみんなも残念がってたよ。授業一番わかりやすかったのにって」

「わかりやすかったって言ってもらえて嬉しいな。でも、辞めさせられたんじゃないからね」

 表向きには自主退職したことにしておいたのだが、いつの間にか美琴がクビになったことを知っているのだから、子どもたちの情報網は侮れない。

「あっ、陽菜ちゃん。そろそろお部屋に戻らないと。先生の回診があるんでしょう?」

「そうだった!」

 話を逸らすと、陽菜はパッと顔を明るくさせ立ち上がる。聞くところによると、彼女の主治医は若い男性医師らしい。

「本当にびっくりするくらいイケメンで、カッコよくて優しいんだよ。みこっちにも会わせたいくらい」