嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

「ふふ、今日はふたりだけで、食べるのはたこ焼きですけど。でも、思えばあのパーティが遥臣さんと結婚する切掛けになりましたね」

 偶然の再会後、彼に婚約者のフリを頼まれ、引き受けたのをきっかけに自分の人生は大きく変わったのだ。

「そうだな。でも、最初の婚約があったからこそ君に巡り会えたし、再会できた。あの頃の君との時間も俺は大事に思ってるよ」

「遥臣さん……」

 遥臣は穏やかな表情を浮かべている。

 美琴が心を痛め、思い出したくないとまで思った過去すら、遥臣は大切にしてくれている。
 彼がそう思ってくれるなら、美琴も過去の自分ごと受け入れられる気がした。

「ありがとうございます……私も、遥臣さんが婚約者になってくれてよかった」

 声が詰まりそうになった美琴は慌てて残りの生地を流し込み、明るい声を出す。

「具材は栄養バランスを考えてブロッコリーとかの野菜も用意していますよ。せっかくだから一緒に作りましょう」

「いいよ。どちらが上手にできるか勝負しようか。負けた方が罰ゲームね」

 遥臣は不敵に口の端を上げた。