嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 でも、もしかしたら不器用なだけなのかもしれない。
 息子の結婚を喜ぶ父親を見て、遥臣も意外そうな、そして少し照れくさそうな顔をしていた。

 両家に快く認められたふたりは今度こそ婚姻届を出し晴れて夫婦になった。

「これで準備完了」

 エプロンを外していると、スマートフォンが震えメッセージの受信を告げる。

「あ、陽菜ちゃんだ」

 画面を見て思わず声が弾む。そこには【久しぶりのおうち最高! パパがお寿司買ってくれたよ】と陽菜からのメッセージが表示されていた。

 手術から約2週間、順調に回復した陽菜は今日、長い入院生活を終えて退院した。

 昨日顔を見に行ったらとても元気で、手術痕も髪の毛で隠されていてぱっと見はわからないほどだった。

 激しい運動の禁止などの制約はあるが、もうすぐ冬休みの学校には年明けから復帰できるそうだ。彼女はとても楽しみにしていた。

 この先も定期的な検査は欠かせないものの、普通の生活がおくれるようだ。

(本当に良かったな……)

 美琴は安堵の溜息をつく。前の塾で受験勉強を再開するかはまだ決めていないらしいが、声をかけてもらえれば喜んでサポートするつもりだ。