嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

「やっぱり。これから俺に抱かれるのに、他の男を見ようとするなんて、ひどい奥さんだな」

 耳元で低い声を落とす遥臣。距離の近さと“抱かれる”という単語に胸がドクンと跳ねたが、動揺を悟られないようになんとか取り繕う。

「他の男って……芸人さんですよ」

 しかもビジュアルではなくネタの面白さで勝負している40代のひとの良さそうなコンビ芸人だ。

「関係ないよ。君のことになると余裕が無くなるって言っただろう?」

 遥臣は美琴からタブレットを取り上げるとテーブルに置き、美琴の膝裏に手を回し抱き上げる。
 一連の動作は流れるようで無駄がなく、気づいたらお姫様抱っこされていた。

「あ、えっ? 遥臣さん重い! 腰痛めます!」

「大丈夫、軽いよ」

「でもっ……」

「ほら、じっとしてて」

 問答無用で運ばれたのは遥臣の寝室だった。

 丁寧にベッドに横たえられた美琴は、固まったまま遥臣を見上げる。

「このベッドも買い替えようかな。これから君と一緒に寝るようになるからもっと大きい方がいい」

 遥臣は照明をベッドサイドランプだけにして美琴を組み敷いた。