嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 遥臣は「普通に考えればご実家にして帰るはずないのに」と苦笑している。

「それでわざわざ、実家まで来てくれたんですね」

「不安な気持ちで君の帰りを待つよりいいと思ったんだ。本当に俺は君のことになると余裕がなくなる」

 遥臣の突拍子もない行動は美琴への気持ちの大きさ故だった。そう理解すると、申し訳ないと思うと同時に幸せな感情があふれてくる。美琴は繋がれた手に力を込めた。

「私、遥臣さんとの暮らしが楽しくて、ずっと続けばいいと思ってしまったんです。遥臣さんが私を守るために結婚したふりをしてくれてるって知ったときは、やっぱりショックだった。でも……」

 遥臣は黙って続きを待ってくれている。

「迷惑をかけているのはもっと嫌だったんです。私、今も昔も遥臣さんを困らせるだけの存在だと思って。好きだからこそ、早く離れなきゃって……」

「美琴」

 名前を呼ばれると同時に、正面から抱きしめられる。

「君が離れようとしても、俺は離すつもりはない」

「遥臣さん……」

 彼の広い胸の温かさに涙腺が緩みそうになる。すると、遥臣は抱きしめる腕を少し緩めて美琴を見下ろした。