嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 遥臣と再会したばかりのころにこの話をされても怯えて取り乱しただろうし、素直に頼れなかったかもしれない。

「結婚したふりをすれば諦めるだろうと思った。婚姻届を出さなかったのは、この先君が結婚するとき離婚歴があると足を引っ張ると思ったから。すべて片付いたら君にぜんぶ話して、安心して普通の生活に戻ってもらえばいいと考えていた」

 美琴の手を握る手に力が入った。

「でも、あっという間に俺が離したくなくなった。君を、愛してしまったから」

「遥臣さん……」

「本当は今日、家に帰ったら君に今の話をぜんぶして、結婚を申し込んで受け入れてもらえたら日を改めてご実家に挨拶に行こうと思っていたんだ」

「す、すみません。私のせいで、順番がぐちゃぐちゃに……」

「いや、きみはちゃんと書き置きを残してくれていた。勝手に慌てたのは俺だよ」

 今朝遥臣は理恵子に会い、美琴が婚姻届を出していないと気づいていると聞かされたらしい。

「隠していたせいで君が騙されたとショックを受けたと思った。それに、家に結婚指輪が置き去りになっていたのを見て、俺に愛想をつかして君がもう帰ってこないんじゃないかって焦ったんだよ」