嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 遥臣はバツの悪そうな顔でハンドルを握っている。どうやら彼は当直明けで帰宅したあと、すぐに実家まで車を走らせたようだ。

「いえ……でも、驚きました」

(しばらく実家には帰れないかも……恥ずかしすぎて)

 助手席の美琴もいたたまれない。両親の前で大告白大会を開催してしまったのだ。今さらながら羞恥でどうにかなりそうだ。

 あのあと『ふたりの間に誤解があるのならきちんと話し合いなさい。結婚云々はそのあとだ』と父に言われ、追い出されるように実家をあとにした。後部座席には大きな袋。中には母の持たせてくれたリンゴが入っている。最初よりずいぶん量が増えていた。

(それにしても、遥臣さんと何を話していいか分からない……)

 ふたりの間にこそばゆい空気があるのは気のせいだろうか。父に言われた通り、ちゃんと話し合う必要があるのだが、今はどうも気持ちがフワフワしていた。

「……少し、寄ってもいいかな」

 カーナビに目をやった遥臣がハンドルを向けたのは、実家から車で15分ほどのところにある高台の公園だった。

 駐車場に車を停め、園内に入るとすぐに展望台があった。