嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

「遥臣君、結婚は本人の意志にまかせています。今はしがらみもなにも関係なく、好きになった人と幸せになってほしい。親として願うのはそれだけです」

「お父さん……」

 父の言葉が優しく胸にしみこんでくる。父に深く頷いた遥臣は、もう一度美琴に向かい合った。

「俺は、美琴を幸せにしたい」

「遥臣さん……」

(好きになった人……だったらひとりしかいない)

 しがらみも釣り合いも関係なく望んでいいのなら、手を伸ばしたい。この人との未来に。

 美琴は大きく息を吸い、心からの想いを声にする。

「私も遥臣さんが好きです。これからもずっと一緒にいたい」

「美琴」

 遥臣は一瞬目を見開いたあと、脱力したように微笑み美琴の手を握る。

 見つめ合うふたりの横で、父が泣きそうな声を出した。

「お母さん、僕は何を見せられているんだろうね」

「まあまあ、子どものころから婚約者がいたくらいなんですから、お嫁に出す覚悟はあったでしょう……まさか、結局遥臣君になるとは思いませんでしたけど」

 父を慰める母の声は明るかった。



「ごめん、ご実家に押しかけたりして」