嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

「さて、そろそろ行こうかな」

「わかったわ、あ、これ持って行ってね」

「わぁ、おいしそう」

 母に渡されたビニール袋には真っ赤なリンゴが3つ入っていて、爽やかな香りを放っている。

 駅まで車を出してくれるという母のあとに続いて玄関に向かおうとしたとき、呼び鈴が響いた。

「あら、だれかしら」

 急ぎ足で玄関に向かう母を目で追いながら、そういえばこの家にはモニター付きのインターフォンがないと気づく。

(物騒な世の中だから、きちんと防犯対策をしてもらわないと。あとでふたりに話しておなきゃ)

「あなた、もしかして……遥臣君?」

 ドアを開けた母の困惑した声が聞こえてきた。

「……えっ?」

 美琴は思わず玄関に駆け寄り、思い切り目を見開く。

 そこに立っていた背の高い男性は、間違いなく遥臣だった。



「ご無沙汰しております。突然お伺いして申し訳ありません」

 遥臣は畳の居間に案内されると、すぐに頭を下げた。

「い、いえ、ずいぶん立派になって……なにかこちらの方でお仕事でも?」