嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

「3、4日で見舞いも可能だから」

『よかった……遥臣さん、本当に、ありがとうございます』

 電話の向こうで声を詰まらせる美琴を今すぐ帰って抱きしめたくなる。しかし、あいにくそういうわけにはいかなかった。

「今日は当直だから、帰るのは明日の朝になる」

「はい。お疲れさまです。無理しないで仮眠も取って下さいね」

 美琴の声はいつもの明るく柔らかいものだった。安心した遥臣は名残惜しく思いながら電話を切った。

 
 翌朝遥臣は当直業務を終える。陽菜の術後は順調で午後には病室に戻れそうだ。
 同じチームのドクターにしっかり引継ぎを行ってから、着替えて職員用エントランスに向かう。

(美琴とゆっくり話をするのは夜にするか)

 明日の朝まで遥臣は非番だ。昼は気分転換に彼女をどこかに連れ出して、美味しいものを一緒に食べてもいいかもしれない。

 エントランスから出ようとした遥臣はこちらに向かってくる叔母の姿を見つけ、手を上げて近づいた。

「おはよう」

「あら、遥臣当直だったの? お疲れ様」

 理恵子は足を止めて笑顔を向けた。

「理恵子さん、一昨日はありがとう」