嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 慎重かつ的確に手術を進め、午後一に行われた陽菜の手術は一時間ほどで無事に終了した。

 しばらく経過を見たが、うっ血や梗塞などの兆候は見られない。このままICUに入り、問題なければ明日元の病室に戻る。経過が順調なら二週間後に退院できるだろう。

 陽菜の父にそのように説明すると、心から安心したように脱力していた。

 医局に戻った遥臣は美琴に電話することにした。

 普段遥臣は陽菜を含めて患者の話をしないようにしている。医者として当然だが美琴もあえて聞いてこない。でも今日だけはすぐに無事を伝えて、彼女を安心させてやりたかった。

(それに昨日の夜、様子がおかしかったのも気になる)

 智明に待ち伏せされ、怪我までしたのだから無理はないかもしれない。でも、遥臣に身を寄せてきたとき、美琴の表情に浮かんでいたのは寂しさのように見えたのだ。

 コールすると、すぐに繋がった。

『――はい、美琴です』

 もしかしたら電話が来るのを待っていたのかもしれない。緊張をはらんだ声から、陽菜を心配する気持ちが伝わってくる。

「陽菜ちゃんの手術、無事終わったよ。今のところ経過も問題ない」

『……そう、ですか』