本能的に智明を怖がり避けようとしていた美琴の気持ちを遥臣は慮ってくれたのだ。
ストーカー対策で夫婦のフリをするにしても短期間。わざわざ籍まで入れる必要はないと合理的に考えたのだろう。
たしかにその方がお互い面倒はない。
しかし遥臣の〝妻〟でないと突き付けられた美琴は大事な拠り所を失ったような気持ちになる。
(守ってもらったのに、戸籍上奥さんじゃなくて寂しいだなんて……図々しいよね)
「……美琴ちゃん、大丈夫? 痛い?」
いつのまにか俯いていた美琴は、理恵子に心配そうな声を掛けられハッとして顔を上げる。
「もう、ぜんぜん痛くないです! おばさま、ご心配をおかけしました」
ここで沈んでいたら理恵子におかしく思われる。美琴は必死で取り繕った。
帰宅した美琴が夕食の準備をしていると、玄関ドアの開く気配がした。
すぐに慌てたような足音とともに遥臣がリビングに飛び込んできた。
「美琴!」
「遥臣さん、おかえりなさい」
遥臣は美琴の近くに立つと顔を歪ませ、おそるおそる美琴の手を取る。
「痛むか?」
「大丈夫ですよ。おばさまから大したことなかったって聞いてませんか?」
ストーカー対策で夫婦のフリをするにしても短期間。わざわざ籍まで入れる必要はないと合理的に考えたのだろう。
たしかにその方がお互い面倒はない。
しかし遥臣の〝妻〟でないと突き付けられた美琴は大事な拠り所を失ったような気持ちになる。
(守ってもらったのに、戸籍上奥さんじゃなくて寂しいだなんて……図々しいよね)
「……美琴ちゃん、大丈夫? 痛い?」
いつのまにか俯いていた美琴は、理恵子に心配そうな声を掛けられハッとして顔を上げる。
「もう、ぜんぜん痛くないです! おばさま、ご心配をおかけしました」
ここで沈んでいたら理恵子におかしく思われる。美琴は必死で取り繕った。
帰宅した美琴が夕食の準備をしていると、玄関ドアの開く気配がした。
すぐに慌てたような足音とともに遥臣がリビングに飛び込んできた。
「美琴!」
「遥臣さん、おかえりなさい」
遥臣は美琴の近くに立つと顔を歪ませ、おそるおそる美琴の手を取る。
「痛むか?」
「大丈夫ですよ。おばさまから大したことなかったって聞いてませんか?」



