「こちらこそ必要としてもらえて嬉しかったです。それにまだ終わりじゃないですよね。元気になった後も陽菜ちゃんが嫌でなければ続けさせてください」

　手術が成功して順調な経過をたどれば日常生活に戻れると聞いているから、できる限りフォローしたい。そう思って笑いかけると、陽菜の父は「是非お願いします」と眩しそうに目を細めた。


　その後、病室で少しだけ陽菜を見舞った美琴は父娘の邪魔にならないようすぐに退出した。

（陽菜ちゃん『早く退院したいからがんばる』って言ってくれたけど、やっぱり少し緊張してたな）

　無理もない、大人だって手術は緊張する。しかも頭にメスが入るのだ。美琴があの年齢だったらみっともなく騒いで周りに迷惑を掛けたに違いない。

　そんなことを考えながら廊下を進んでいると、ファイルを携えながらこちらに向かって歩いてくる清香の姿が目に入った。

「あ、清香さん！」

　美琴は彼女に声を掛け近づく。