「そうですか、陽菜ちゃん喜びますね。私、今日は授業はせずに顔だけ見たら帰ろうと思っているんですが、少しだけお邪魔してもいいでしょうか」
陽菜の父は「もちろんです」と頷いてくれたので、ふたりで病室に向かう。
「……平林先生には本当に感謝しているんです」
エレベーターを待ちながら陽菜の父が口を開いた。
「小さいときに母親を亡くしたせいでしょうか、陽菜はやけに大人に気を遣う子になってしまって。病気になってから特に」
「……でも、不安じゃないわけないですよね」
美琴も陽菜が周りに心配をかけまいとして、わざと明るく振舞っていると感じていた。
「はい。でも、あの子私に言ってたんです。平林先生と勉強しているときだけは自分が病気なのを忘れられるし、学校を休んでいる焦りが少しだけ減ったって……本音だと思います」
言葉を区切ると、陽菜の父は美琴に頭を下げた。
「陽菜の心の支えになっていただいて、本当にありがとうございました」
「お父さん……」
美琴の心の中にじんわり温かい感情が広がっていく。自分のしたことが少しでも陽菜の心に寄り添えていたのなら嬉しい。
陽菜の父は「もちろんです」と頷いてくれたので、ふたりで病室に向かう。
「……平林先生には本当に感謝しているんです」
エレベーターを待ちながら陽菜の父が口を開いた。
「小さいときに母親を亡くしたせいでしょうか、陽菜はやけに大人に気を遣う子になってしまって。病気になってから特に」
「……でも、不安じゃないわけないですよね」
美琴も陽菜が周りに心配をかけまいとして、わざと明るく振舞っていると感じていた。
「はい。でも、あの子私に言ってたんです。平林先生と勉強しているときだけは自分が病気なのを忘れられるし、学校を休んでいる焦りが少しだけ減ったって……本音だと思います」
言葉を区切ると、陽菜の父は美琴に頭を下げた。
「陽菜の心の支えになっていただいて、本当にありがとうございました」
「お父さん……」
美琴の心の中にじんわり温かい感情が広がっていく。自分のしたことが少しでも陽菜の心に寄り添えていたのなら嬉しい。



