これまで結婚願望などなかったのに、見せかけの妻に完全に骨抜きになっている。
(でも、美琴は真面目だから、ああゆうのもぜんぶ仕事だと思ってるんだろうな)
弁当を平らげた遥臣は丁寧に蓋を戻し、サーバーで淹れたコーヒーを口に運ぶ。
『南田国際にいるのはあと一、二年かな。その間、妻役を務めてほしい。あくまで仕事としてとらえてくれればいい。君にしかできない価値のある仕事だ』
そう言ったのは他でもない自分だ。あのときはそのつもりだった。でも今は、美琴のビジネスライクな態度がもどかしくなっているのだから勝手ものだ。
しかもここ最近、彼女の態度が急によそよそしくなっていた。
愛しいあまり、距離を詰めすぎてしまっただろうかと気にしていたところで、陽菜の父親に照れたようなかわいらしい表情を向けているのを見て――面白くないのを超えて完全に嫉妬した。
自分に嫉妬なんて感情が存在するなんて、今まで知らなかった。醜い気持ちを持て余し帰宅した遥臣は美琴が真剣に就職先を考えていると知る。
『離婚後のこと、ちゃんと考えておかないといけないですから』
その言葉にいとも簡単に理性を失った。
(でも、美琴は真面目だから、ああゆうのもぜんぶ仕事だと思ってるんだろうな)
弁当を平らげた遥臣は丁寧に蓋を戻し、サーバーで淹れたコーヒーを口に運ぶ。
『南田国際にいるのはあと一、二年かな。その間、妻役を務めてほしい。あくまで仕事としてとらえてくれればいい。君にしかできない価値のある仕事だ』
そう言ったのは他でもない自分だ。あのときはそのつもりだった。でも今は、美琴のビジネスライクな態度がもどかしくなっているのだから勝手ものだ。
しかもここ最近、彼女の態度が急によそよそしくなっていた。
愛しいあまり、距離を詰めすぎてしまっただろうかと気にしていたところで、陽菜の父親に照れたようなかわいらしい表情を向けているのを見て――面白くないのを超えて完全に嫉妬した。
自分に嫉妬なんて感情が存在するなんて、今まで知らなかった。醜い気持ちを持て余し帰宅した遥臣は美琴が真剣に就職先を考えていると知る。
『離婚後のこと、ちゃんと考えておかないといけないですから』
その言葉にいとも簡単に理性を失った。



