嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 上品な立ち居振る舞いと、余裕のある会話。出席者はみな美琴の華のある存在感に目を奪われていた。さすがご令嬢だと舌を巻いた。
 
 連れている自分が誇らしくなってしまうほど、彼女は婚約者として完璧だった。

 だからだろうか、南田院長に彼女にふさわしくないと否定されたとき思わず前へ出て彼女を庇った。

『彼女は努力家で優秀で、心も優しい』

 もっとうまくかわす方法もあったはずなのに、余計なことまで口走っていた。

 パーティーが終わり、車で美琴を送り届けた遥臣は、彼女が住むという古い木造アパートを目の当たりにして当惑を極めた。

 そこで、遥臣は美琴からすべての経緯を聞かされる。
 平林家は没落後、篠宮家からも見放され家族は長野へ。美琴は東京で働きながら仕送りしていたが、新卒で入った会社は倒産。そのあと就いた塾講師は最近クビになったという。

 彼女が未だに裕福に暮らしていると思っていたのは遥臣の思い込みだったのだ。

 それだけでも驚きだったが、美琴が智明に結婚を迫られていて、最近何度も電話がかかってくるようになったという。