嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 婚約者としての交流は始まった後も、やはり彼女は気が強く、時には見下したような態度を取られることもあった。
 どうやらこちらを“格下”とみなしているらしい。

 たしかに、当時瀬戸グループは今ほど手広く病院経営をしていたわけではないし、海外まで手を伸ばして事業展開をし始めた平林家からしたらそうなのだろう。

 それまで生まれ持った容姿やスペック、家柄から遥臣は周囲の人たちに好意的に、時には羨望を持って見られすり寄られた。だから、美琴の態度は新鮮だった。

 たまに会うときだけ相手をすればよかったので、遥臣は彼女の冷たい態度を楽しんでいたくらいだ。

 それに、この婚約者の存在は遥臣にとって都合がよかった。
 交際を申し込んでくる女性たちを『婚約者がいる』という理由で穏便に断ることができたから。

 時が過ぎお互いの祖父が亡くなると婚約は形骸化し、ほとんど美琴と顔を合わせる機会はなくなっていった。