唯一の不満と言えば、両親がずっと不仲だったことくらいだろうか。
母はなにかと理由をつけて家に帰ってこなかったし、父は遥臣が医師になり瀬戸グループを継げばいいとだけ思っているようだった。
それが当然のように育っていたので、高校生のときにふたりが離婚したと聞いても、意外と遅かったなと感じるだけだった。
自分が冷めた人間だということを理解していた遥臣は、世の中をストレスなく渡っていくために、敵を作らないコミュニケーション能力と万人受けする笑顔を身に着けた。
美琴と初めて会ったのは、婚約者としての顔合わせのとき。当時遥臣は13歳、美琴は9歳だった。
祖父同士が決めた縁談は、医療機器メーカーと大病院の結びつきを狙ったものだ。
美琴は当時からはっきりとした顔立ちの美少女。小学生とは思えない堂々とした立ち居振る舞いも相まって、育ちのいいお嬢様というオーラを纏っていた。
『美琴ちゃん、よろしくね』
そう声をかけて笑いかける遥臣を美琴は遠慮なく見つめ、硬い声で『よろしくお願いします』と返してきた。
彼女の第一印象は“かわいいけど、すごく気が強そう”だった。
母はなにかと理由をつけて家に帰ってこなかったし、父は遥臣が医師になり瀬戸グループを継げばいいとだけ思っているようだった。
それが当然のように育っていたので、高校生のときにふたりが離婚したと聞いても、意外と遅かったなと感じるだけだった。
自分が冷めた人間だということを理解していた遥臣は、世の中をストレスなく渡っていくために、敵を作らないコミュニケーション能力と万人受けする笑顔を身に着けた。
美琴と初めて会ったのは、婚約者としての顔合わせのとき。当時遥臣は13歳、美琴は9歳だった。
祖父同士が決めた縁談は、医療機器メーカーと大病院の結びつきを狙ったものだ。
美琴は当時からはっきりとした顔立ちの美少女。小学生とは思えない堂々とした立ち居振る舞いも相まって、育ちのいいお嬢様というオーラを纏っていた。
『美琴ちゃん、よろしくね』
そう声をかけて笑いかける遥臣を美琴は遠慮なく見つめ、硬い声で『よろしくお願いします』と返してきた。
彼女の第一印象は“かわいいけど、すごく気が強そう”だった。



