嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 13時。午前の診察を終えた遥臣は医局で休憩に入っていた。今日は予約外の患者が少なかったので比較的早い方だ。

 積み上がった書類とパソコンが占領する殺伐としたデスクの上での昼食でも、美琴が持たせてくれた弁当は美味しい。

 あれから2日。無理やり唇を奪うという暴挙に出たというのに、美琴はなにもなかったかのように遥臣の世話を焼いてくれている。

(いや、なにもなかったとは思ってないな。前にもまして距離を取られるようになった)

「お、瀬戸先生、ため息なんかついてどうした? イケメンが台無しだぞ」

 後ろを通りかかった外科部長の岸谷が立ち止まって声をかけてきた。どうやら気づかないうちに溜息をついてたらしい。

「岸谷先生、おつかれさまです」

 遥臣は卒ない笑みで返す。

「愛妻弁当か! いいな。結婚したばかりで、毎日楽しいだろう? しかもあんなに美人で気が利く奥さんなんて羨ましいよ」

「はは、ありがとうございます。たしかに毎日彼女に助けられてます」