嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして

 キスの合間に名前を囁かれる。その切ない声色に胸が痺れてどうにかなってしまいそうだ。

「は、る……」

 こんなのおかしい、でも拒絶できない。遥臣の唇を必死に受け入れながら、とうとう立っていられなくなった美琴が目の前の胸に縋りつこうとしたそのとき、彼ズボンのポケットのスマートフォンが大きく振動した。

 美琴は驚いて大きく体を揺らす。

 遥臣はハッとしたように美琴を解放する。肩で息をする美琴。沈黙の中、着信のバイブ音がけたたましくふたりの間に鳴り続ける。

「美琴――」

 なにかを続けようとする遥臣を止め、声を絞り出す。

「……電話、出てください。病院からかもしれません」

「……ああ」

 取り出したスマートフォンの画面を見て、遥臣の顔つきが一瞬で引き締まる。やはり病院からの呼び出しのようだ。

「瀬戸です。はい……状況は? わかりました。すぐ行きます。それまでは……」

 話しながら寝室に向かう遥臣。すぐに着替えて病院に向かうのだろう。美琴も彼の準備を手伝うべくその場を離れた。