しばらくした後、

「よし。出来た」
 
 そう加瀬冬架が言った。
 携帯を渡されるとLINEには猫のアイコンのアカウントが追加されて本当にしたんだって悟った。
 まぁ、でもアイコンが猫とかなんというか意外な気がする。

「何、ずっと携帯を見ている訳?もしかして嬉しいの」
「い、いや!そんなわけ!」
 
 ふと自分が言ったことに気がついて

「いや、別にそういう訳じゃありません」
 
 加瀬冬架にため口とか恐ろしい。もしかしたらばらされるかもしれないのに。

「古川さん、いい加減敬語やめたら?どうせ、お互い秘密を知ってるわけなんだし。何か敬語とか気持ち悪い」
「い、言えるはずないじゃないですか。その、ばらしたり」
「さーね。でも、俺がため口でいいって言ってるんだからため口で話してよ」
 
 私は少し考える。ここは加瀬冬架の言うことを聞いたほうがいい気がする。だって私も加瀬冬架の秘密を知っているのに私だけ敬語ってよくよく考えたら変な気もする。でもあの加瀬冬架には裏がありますよーって言っても信じてくれる人はいないだろう。
 つまり私だけが加瀬冬架の秘密を知っているという訳だ。

「分かりました。これからはため口で話します」
「あ。俺、そろそろ教室に戻らないとだ。じゃーね。古川さん」
 
 そう言って加瀬冬架は去った。
「はぁ!めちゃくちゃ緊張した」

 実といえば加瀬冬架と話しているときて汗が酷かった。ばらされるかもしれない恐怖とイケメンの破壊力が凄い。
 本当に加瀬冬架は顔だけいい。別に好きって訳じゃない。嫌いだ。でも認めたくないけど加瀬冬架はイケメンだ。それも芸能人なんじゃないかっておもうほどのレベルで皆女子たちは裏で加瀬冬架を拝めている。表だけ見れば好きになる人がいるのは間違いなく事実で実際そうだ。
 これは一生誰にも言うことはない私だけの秘密。
 私はご飯を食べた後教室に戻った。