「誰にも、言わ、ないで……」

　と気づけばポツリ私は呟いていた。その声は人生で一番と言ってもいいほど情けなくて恥ずかしかった。

「もう一回言って？」
「誰にもいわないで！」

　そう私が言うと加瀬冬架は考えるように「どうしようかなー」と言った。
　私はずっと不安な気持ちで加瀬冬架の方を見つめた。

「じゃあ、さっきのこと秘密にする変わり、俺の言うことこれから聞いてくれたらいいよ」

　私は迷わず

　「分かりました！言うこと聞きます」

　と答えた。
　その時の私は加瀬冬架のことをあんまり分かっていなかった。
　その発言が後に後悔することを知らずに。

　「あの、もう私、帰りますね。ありがとうございました」

　そう言い私は走って家まで帰った。

「あーあ、体調悪いくせに行っちゃった。まぁいっか。これから古川さんと話せるし。まさか教室の時チラッと見た古川さんのツイッターを使って俺の言いなりに出来るなんてね。これからよろしくね。古川さん」