「わぁ!ここのお店の外見可愛い!」

 そう言い桜子はカメラのシャッターを押す。きっとSNSに投稿するんだろう。
 外見とって何が良いんだろう。
 帰ったら桜子が今撮っている写真をいいねしないといけない。
 それが私にとっては少し苦痛だ。

「お待たせしました。こちらストロベリーカヌレとバニラカヌレです」

 ありがとうございますとお店の人にお礼を言い自分の前へとバニラカヌレを運ぶ。

「うわぁ!美味しそう!」
「だね!」
 
 いただきますと言いカヌレを食べようとすると桜子に「ちょっと待って」と言われた。

「え、どうしたの?」
「ごめん!写真撮らせて!」
 
 はぁ。また写真か……。そう私は内心呆れながら思った。
 本当、桜子は写真が好きだ。どうせ、いいね貰いたいだけだろう。

「いいよ!」

 カシャカシャとシャッターを押す音が鳴り響く。
 いろいろな角度から桜子は写真を撮る。

「琴乃は写真撮らなくていいの?」

 突然、不思議そうな顔をしてそう桜子は言ってきた。
 これは撮らないといったら空気が悪くなるやつだ。
 一応場に合わせて写真を撮ることにした。

「撮ろうかな……」

 はぁ。やっと食べれると私は嬉しく思った。
 写真を撮るのも終え、目の前には美味しそうなカヌレが目に入る。
 いただきますと桜子と言いカヌレを自分の口へと運んだ。
 うわ。美味しい……。外はカリッとしていて中は柔らかく、クリーミーで……。カヌレ食べたことなかったから今日来て良かったかもしれない。

「琴乃!美味しい?」
「うん、美味しい!」
「良かったぁ!」



「じゃあ琴乃!バイバイ」
「うん、バイバイ」

 琴乃はここの駅で降りるからここから先は私、一人だ。
 はぁ、なんか疲れたな。座席に座りたい。
 そう思いながら周りを見渡すとどうやらここ一両には空いている席がないみたいだった。
 二両に空いてる席がないか、見に行こう。
 そう思い私は移動した。
 すると一つポツンと空いている席が目に入った。
 良かったと嬉しい気持ちになりながら席に向かって歩く。
 
「あの人イケメンだよね!」
「話しかけてみる?」

 なんかここの二両やけに女の子チラチラと一ヶ所をみてるような……?
 そう思いながら女の子たちが見てる方向を目で辿っていくとそこには加瀬冬架がいた。
 げっ。
 私は目を見開く。 
 やっぱり見間違えじゃない。加瀬冬架だ。
 はぁ。座りたかったのに!
 加瀬冬架の近くに座ったらチラチラ加瀬冬架のことをみている女の子たちに憎まれるの間違いなしだ。
 近くに座ったら緊張するから席空いていたんだ。
 でもきついしな。そう思いながら携帯を握る。
 とっさに携帯を開きXで「皆にイケメンと言われているkがいるせいで座れない!」と投稿した。
 私は最近Xで自分が嫌だったことや嬉しかったことなどをXに投稿している。もちろん知り合いとは誰とも繋がっていない。当たり前に桜子とも。