【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。

 夏休みになった。アパートの畑にある植物は枯れずに全て順調に育っていた。由希くんみたいにフワフワしていて可愛いなと思って買ったアリッサムなんて今はすごいボリュームが増している。

 由希くんは毎日丁寧にチェックして、枯れた花の部分が種にならないように花柄摘みという作業も欠かさずしている。こんなに綺麗に咲いているのは、由希くんが手入れをきちんとしているからだ。由希くんに渡して良かったなと心の底から思う。手入れをしている姿も眺めるのが好きだった。何年経っても由希くんは変わらずに植物を大切にするんだろうな。

 その時俺は、由希くんの一番隣にいられるのだろうか。隣にいたい――。

 深い仲になるためのスタートとして、俺たちは、試しに恋人として付き合ってみることになった。仮の恋人になったけれど特に変わったことは何もなかった。最近変わったことといえば、ふたりのことではなくて、俺が近所の小さなカフェでバイトをはじめたくらいか。いつも「多く作ったから」と、美味しいおかずを由希くんからもらっていた。そのカフェのバイトでは簡単で美味しい料理も作るから、上手くなったら俺も作って恩返しができるといいな。ちなみにカフェではオムライスが美味しい。

 バイトしている理由はまだ由希くんには内緒だけど、誕生日プレゼントを渡したいから。本当は毎年贈り物をしたいと考えていた。だけどふたりの間には壁があったから、渡せなかった。由希くんの誕生日は俺の誕生日、十月十日の一か月前、九月九日だ。由希くんの方が年下っぽいけれど微妙に年上だ。

まだ日にちはあるけれど、何をあげたら喜んでくれるのだろうかと、悩む日々が続いていた。

 そんな平凡な日々を過ごしていたある日、由希くんから「助けて」とだけ書かれたメッセージがスマホに届いた。

 八月に入ったばかりの日だった。