「あっ、そうだ! 由希くん、これあげる」
律くんはグルグルするところが虹色の小さなかざぐるまをカバンから出した。僕は両手で棒の部分を持つ。
――僕がいない時でも、僕のことを考えながら可愛いかざぐるまを選んで買ってくれていたんだ。
ふーっと息を吹きかけると勢いよく回った。
「可愛いね、うちの畑に似合いそう! ありがとう」
回っているかざぐるまを眺めていると気持ちが落ち着いてきた。落ち着いてからふと気がつく。
「律くん、もしかして僕の話、全部聞いてた?」
「うん、聞いてた。ねぇ、もう俺ら、お試しでもいいから、付き合おう? 恋人がどんな感じか試してみて、由希くんが嫌だなって思ったらもう、何もなかったことにしても良いし」
まっすぐに僕を見て、真剣な声で律くんは言った。その眼差しに僕はドキッした。
律くんが他の人と付き合うのは嫌だ。
律くんが僕以外の人を一番にするのも嫌だ。
今断れば、律くんはモテるから僕はすぐに二番になってしまうかもしれない。そうなるくらいなら――。
「分かった。どんな感じか、試してみる」
そうして僕たちは、お試しの恋人になった――。
律くんはグルグルするところが虹色の小さなかざぐるまをカバンから出した。僕は両手で棒の部分を持つ。
――僕がいない時でも、僕のことを考えながら可愛いかざぐるまを選んで買ってくれていたんだ。
ふーっと息を吹きかけると勢いよく回った。
「可愛いね、うちの畑に似合いそう! ありがとう」
回っているかざぐるまを眺めていると気持ちが落ち着いてきた。落ち着いてからふと気がつく。
「律くん、もしかして僕の話、全部聞いてた?」
「うん、聞いてた。ねぇ、もう俺ら、お試しでもいいから、付き合おう? 恋人がどんな感じか試してみて、由希くんが嫌だなって思ったらもう、何もなかったことにしても良いし」
まっすぐに僕を見て、真剣な声で律くんは言った。その眼差しに僕はドキッした。
律くんが他の人と付き合うのは嫌だ。
律くんが僕以外の人を一番にするのも嫌だ。
今断れば、律くんはモテるから僕はすぐに二番になってしまうかもしれない。そうなるくらいなら――。
「分かった。どんな感じか、試してみる」
そうして僕たちは、お試しの恋人になった――。



