【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。

 律くんと一緒に植えたミニトマト。僕にとっては甘くて美味しくて。でも律くんにとっては苦手で、でも我慢して食べてくれたのか。

 僕の頭の中が真っ白になってきた。

「律くん、ミニトマト、ごめんね」
「由希くんが謝ることではないから」

――嫌いじゃないよって、否定はしないんだね。

 じゃあ、やっぱり律くんはトマトのことが……。

――何でトマトが嫌いって教えてくれなかったの? どうして秘密にしてたの?

 一緒に育てていたものだから、一緒に喜んで食べてくれると完全に思っていた。だけど袴田くんの言葉を聞いて、無理して食べてもらっていたのだと知った。申し訳ない気持ちになってきた。

 律くんは中学時代、怪我をする時までサッカーをずっとやっていた。袴田くんも一緒に。その頃は、僕と律くんは離れてしまっていた時期だし、僕がその頃の律くんを知らないのは仕方がない。

 学校での律くんは、僕よりも袴田くんとの方が仲が良い。律くんを〝律〟って呼び捨てで親しそうに呼んでいるし、休み時間に律くんは袴田くんたちの運動部に誘われて外でサッカーもしているし。

 トマトのことが引き金になり、黒くてモヤモヤした気持ちがどんどん込み上げてくる。
 心臓がぐいっと強く掴まれるように痛い。

 袴田くんが悪いわけではないし、律くんが悪いわけでもない。この気持ちをどこにぶつければいいのか分からない。

 泣きたい気持ちだけど今は遠足中だ。

 楽しまないと。
 楽しむふりをしないと――。

「カレー作りすぎちゃったから、他の班の人たちにも食べるか聞いてみようかな?」

 普段はしないような行動。
 だって、今すぐに律くんから離れたかったから。

 僕は笑顔を無理やり作り立ち上がる。そして鍋を持つと他の班のところへ行った。