【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。

俺の家に入る直前に「ちょっと待ってて」と、由希くんはアパート横に停めてあった自転車の場所へ向かった。そして自転車のカゴに入っていたモンキーバナナを全て手に持つと「これ、り、律くんの。全部あげる」と言いながら、ぎゅっと大切そうにモンキーバナナを抱きしめた。バナナは由希くんの好きな果物なのに、全部俺に――? 

「いいよ、家に持って帰って食べな?」
「ううん、り、律くんにあげる」

 そして今、由希くんも慣れない感じだけど俺のことを名前で呼んでくれた。

 由希くんの顔はまだ少し涙で濡れているけど、照れたような笑顔が浮かんでいた。
 胸の辺りがじんわりと温かくなっていった。

 ふたりで俺の家に入っていった。そのまま俺の部屋へ。外で作業してから水分とってないから、由希くんは喉が渇いたかな?

「何か、飲む?」
「うん、ありがとう」

 由希くんが床に座ったのを確認すると、俺はキッチンに向かう。

 由希くんは学校でお弁当と一緒によく甘い飲み物を飲んでるから、小さい時と好みは変わってないのかな……。こないだのカラオケではオレンジジュース飲んでたけど、いちごミルクはメニューになかったしな。

冷蔵庫に入っていたいちごミルクのパックを持つと、ドキドキしながら由希くんのいる部屋に向かった。