帰り道は、由希くんが苗を気にしながら行きよりもゆっくり自転車を走らせていたから、俺も由希くんに合わせてゆっくり進んだ。お陰で長い時間一緒にいられて、嬉しかった。
気温が上がり暑くなってきていたけれど、由希くんと一緒に自転車を走っていたからか、向かい風が気持ちよかった。
アパートに着くと、早速花の苗を植えた。紫、赤、オレンジ、黄色のビオラ。そしてきゅうりとミニトマト、アリッサムを挟んでペチュニアの薄いピンク、濃いピンクを。トマトよりも前に、等間隔で。さっきと同じように、由希くんが場所を決めて穴を堀り、俺がそこに苗を植えていく。
「ふんっ、ふふふっ、ふんふ~ん♪」
最後に薄いピンク色のペチュニアを植えて、苗周りの土を軽く踏み固めていた時、横から薄ら鼻歌が聞こえてきた。ちらっと見ると、由希くんは花の写真を撮りながら笑っていた。この曲は由希くんが大好きな小説『キミと手をつなぎたい』のドラマの主題歌で、俺がカラオケでも歌った曲だ。
何故好きなことを知っているのかというと、学校で由希くんが読んでいる小説を放課後こっそり由希くんの机の中を覗いて確認していたし、朝、ミニトマトを見つめながら楽しそうにこの曲の鼻歌を歌ってもいたからだ。最初はなんの歌か分からなかったけれど、テレビを観ていたらドラマの予告と共にこの歌が流れていた。そして、気がつけば俺は完全に歌を覚えていた。
由希くんの気分が良さそうで、楽しい。もっと由希くんの鼻歌を聞きたいから、俺は気がつかないふりをしながら無言でゆっくり作業を進めた。
――若干ズレている音程もリズムも、心地よい。
だけど、鼻歌も作業も終わってしまった。
もっと一緒にいたかったけど、片付けをして家の中に入る準備をする。あぁ、また由希くんと関われない生活に戻ってしまうのかな。悲しみが湧いてきそうな気分の時だった。
気温が上がり暑くなってきていたけれど、由希くんと一緒に自転車を走っていたからか、向かい風が気持ちよかった。
アパートに着くと、早速花の苗を植えた。紫、赤、オレンジ、黄色のビオラ。そしてきゅうりとミニトマト、アリッサムを挟んでペチュニアの薄いピンク、濃いピンクを。トマトよりも前に、等間隔で。さっきと同じように、由希くんが場所を決めて穴を堀り、俺がそこに苗を植えていく。
「ふんっ、ふふふっ、ふんふ~ん♪」
最後に薄いピンク色のペチュニアを植えて、苗周りの土を軽く踏み固めていた時、横から薄ら鼻歌が聞こえてきた。ちらっと見ると、由希くんは花の写真を撮りながら笑っていた。この曲は由希くんが大好きな小説『キミと手をつなぎたい』のドラマの主題歌で、俺がカラオケでも歌った曲だ。
何故好きなことを知っているのかというと、学校で由希くんが読んでいる小説を放課後こっそり由希くんの机の中を覗いて確認していたし、朝、ミニトマトを見つめながら楽しそうにこの曲の鼻歌を歌ってもいたからだ。最初はなんの歌か分からなかったけれど、テレビを観ていたらドラマの予告と共にこの歌が流れていた。そして、気がつけば俺は完全に歌を覚えていた。
由希くんの気分が良さそうで、楽しい。もっと由希くんの鼻歌を聞きたいから、俺は気がつかないふりをしながら無言でゆっくり作業を進めた。
――若干ズレている音程もリズムも、心地よい。
だけど、鼻歌も作業も終わってしまった。
もっと一緒にいたかったけど、片付けをして家の中に入る準備をする。あぁ、また由希くんと関われない生活に戻ってしまうのかな。悲しみが湧いてきそうな気分の時だった。



