【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。

 由希くんが選んだのは紫、赤、オレンジ、黄色のビオラ。そしてビオラより大きめなペチュニアという花の薄めと濃いめのピンク二色を選んだ。

 会計が終わると、おばあさんはポットの高さぐらいの高さに切ってあるダンボールに六つの苗を入れる。そしてそれを袋に入れてくれた。由希くんは自転車のカゴにそれを入れると「苗、倒れないかな。グラグラしすぎないかな……」と不安そうな表情になる。箱の中で安定しているし大丈夫だと思いながらも、由希くんの不安を取り除いてあげたい気持ちになった。

 その時、タイミングよくおばあさんは店からモンキーバナナ六房持ってきて「これ、サービスだよ」と、由希くんに渡した。店の中に大量に置かれていたバナナかな。

「小さくて可愛いバナナ! ありがとうございます」

 由希くんは遠慮せずに素直に受け取った。モンキーバナナを左右三房ずつ、ちょうど空いていたカゴの隙間に並べると、さっきよりも苗は安定した感じになって、由希くんも安心したようだ。

「咲き終わった花は、花柄をこまめに摘むと長く咲いてくれるからね」
「そうなんですか? 初めて知りました」

 自転車をまたいで帰ろうとする由希くんにおばあさんは花の知識を伝えていた。そうなのか……もしも由希くんが花柄摘んでいなかったら、こっそり摘もう。

 今年の夏は、楽しみだな――。