【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。

 カラオケの店前に着くと、同じ高校の自転車組の三人はすでに駐輪場に自転車を停めて、入口前で待っていた。僕と律くんも一緒に待つ。少し経つと五人の女の子たちが揃ってやってきた。派手めな雰囲気やお嬢様っぽい人、色々なタイプがいる。

 中学の時は女の子と遊ぶことはなかったから、不思議な感じがする。

「じゃあ、行こうか!」とテンション高めな袴田くんが先頭に歩き、ぞろぞろと中に入っていく。僕と律くんは一番後ろに。

 広々としたカラオケルームに案内されると、全員が長いソファーに座る。中央のテーブルを挟んで、男女が分かれて向かい合う感じ。薄暗い照明と明るいディスプレイの光、そしてソファーの革の冷たい感触。室内の雰囲気が緊張を増幅させる。

全員ワンドリンクを注文した。僕はオレンジジュース、僕の右隣、一番ドア側に座った律くんはコーラを注文していた。律くんはしゅっとしてかっこよくて、コーラもよく似合っているな。

 早速次々と歌が流れる。みんな曲を次々に入れていくから、僕は歌わなくても大丈夫かな?と、考えていた時だった。

「綿谷、何か歌いな?」と、左隣のクラスメイト、田中がそう言いながらタブレットを渡してきた。

「ぼ、僕は……」

 拒否したかったけれど受け取ってしまったから、歌う曲を探すふりをした。

「綿谷、貸して?」

僕が持っていたタブレットを奪ってくれた律くんは、曲を探し始めた。律くんのお陰で手元にタブレットがなくなったから、ほっとする。そして律くんは曲を選ぶと機械に向かって送信ボタンを押した。律くんが何を歌うのかが気になり、送信した瞬間に大きな画面の隅に現れる曲名を真剣にチェックした。

 曲名を確認すると、気持ちが高まった。

 だって、朝の読書時間に読んでいる大好きな小説『キミと手をつなぎたい』のドラマの主題歌だったから。この主題歌も好きだった。穏やかな曲で、物語の内容に忠実に沿っている歌詞で、聞くだけで切なくなり温かい気持ちにもなって、涙が出そうになる歌だった。ちなみに小説やドラマと同じように、歌も両片想いなふたりの男の子がお互いの気持ちに気がついて幸せになる内容だった。