俺は原因を取り除く決心をした。由希くんが学校に行ってる間に、こっそりときゅうりの苗を抜いて捨ててしまおうって――。後から新しい苗を俺のお小遣いで買って、枯れた苗があった場所に植えれば、由希くんもまた苗を眺めながら成長を楽しみ、笑ってくれるかもしれない。
そして、最悪の日となってしまった日。
その日は、いつも一緒に帰っていた由希くんに、家の用事があるからと言い、すぐに走って帰った。
ランドセルを背負ったまま、こっそり急いで畑に向かう。誰もいないのを確認して、枯れたきゅうりの苗をそっと抜いた。枯れていたから土にしがみつく根の感触は少しもなく、あっさりと抜けた。
枯れた根を土から引き抜いた瞬間、指先に何かが引っかかるような違和感が走った。胸の奥がずんと重くなり、モヤモヤとした痛みが広がる。
「これでいい…これでいいんだ……」
自分に言い聞かせるように呟く声は、弱い風にさえも負け、散って消えそうだった。だけど、自分の行動を認めようとする声は止まらない――本当にこれで、由希くんの笑顔を取り戻せるのだろうか?
抜いた苗をティッシュに包み、部屋のゴミ袋に入れてしまえば、跡形もなく消える。由希くんには、自然のサイクルに従い土に還ったのかもねと言えばいい。だけど本当にこれでいいのだろうか。
すぐに部屋に行けばよかったものの、頭の中がモヤモヤとし、畑の前で考え込んでしまった。
「律くん……何してるの?」
そして、最悪の日となってしまった日。
その日は、いつも一緒に帰っていた由希くんに、家の用事があるからと言い、すぐに走って帰った。
ランドセルを背負ったまま、こっそり急いで畑に向かう。誰もいないのを確認して、枯れたきゅうりの苗をそっと抜いた。枯れていたから土にしがみつく根の感触は少しもなく、あっさりと抜けた。
枯れた根を土から引き抜いた瞬間、指先に何かが引っかかるような違和感が走った。胸の奥がずんと重くなり、モヤモヤとした痛みが広がる。
「これでいい…これでいいんだ……」
自分に言い聞かせるように呟く声は、弱い風にさえも負け、散って消えそうだった。だけど、自分の行動を認めようとする声は止まらない――本当にこれで、由希くんの笑顔を取り戻せるのだろうか?
抜いた苗をティッシュに包み、部屋のゴミ袋に入れてしまえば、跡形もなく消える。由希くんには、自然のサイクルに従い土に還ったのかもねと言えばいい。だけど本当にこれでいいのだろうか。
すぐに部屋に行けばよかったものの、頭の中がモヤモヤとし、畑の前で考え込んでしまった。
「律くん……何してるの?」



