【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。

 そしてクローゼットの中にある、由希くんとの思い出がたくさん詰まっている白い箱に、手紙もしまう。

――そういえば、ずっとこの中にあった由希くんのシャベル、さっき由希くんのところに戻ったな。

 今思い出したけど、そういえば、シャベルについて質問された気がする。だけど、さっきは余裕がなくて、答えられなかった。なんか、無視する感じになってしまった。由希くんにとっての俺のイメージが今以上悪くなったら、嫌だな。

 さっき返したシャベルは、小さい頃にふたりが一緒に遊んでいた公園で、由希くんがなくしたシャベルだ。遊びが終わって、家に着いてからないことに気がついて、公園に戻った。だけど、探してもなかなか見つからなくて。ずっと心に残っていて、数年後になんとなくひとりで公園をさまよい、探していたら見つけた。小さな木がたくさん並んでいるところの隙間にあった。でも、見つけた時にはふたりの間に壁があったから、由希くんに知らせることも、渡すこともできずにいた。

 この箱の中には、昔ふたりでやりとりした交換日記や由希くんが描いてくれた俺の似顔絵、フェルトで作ってくれた可愛いうさぎも入っている。

そう、幼い頃ふたりは本当に仲が良かった。だけどこの箱の中にあるのは、良い思い出のものばかりではない。由希くんと俺との間にわだかまりができた原因のものもある。

 枯れたきゅうりの葉が挟まっているしおり。それを眺めながら、あの日のことを思い出した。

――由希くんを泣かせてしまったあの日のことを。