きみとわたしは、ずっと学校の廊下ですれ違うだけだった。

クラスも違うし、話したこともない。
ただ、たまに目が合うだけ。
名前を呼び合ったこともないし、
顔をちゃんと覚えているかさえ、怪しかった。

でも──

たまたま受けた選択授業。
たまたま隣になった席。

週に2回だけのその時間が、
私の毎日を、少しずつ変えていった。

初めはただの、「顔が好み」ってだけだった。
でも、笑った顔を見たとき、
やさしく教えてくれた声を聞いたとき──

私は、知ってしまった。

「好きになりそう」って思った瞬間には、
もう、手遅れなんだってこと。

これは、
たまたま隣になっただけの私が、
“たまたまじゃない恋”に気づいていく物語。