最期の晩餐

「ありがとーう。じゃあ、まず仕事するー。明日のオーダー食、何がいい?」

 楠木さんに話を聞いてもらえることになり、心が少し軽くなり、仕事へのモチベーションが回復。

「あのさ……。噛み出し食、やってみようと思うんだ。お母さんのハンバーグ、また食べたくて……」

 楠木さんが、躊躇しまくっていた噛み出し食に挑戦の意思を見せた。

「OK。確と承りました‼」

 楠木さんがまた、お母さんのハンバーグを食べる気になってくれたことが嬉しかった。楠木さんにとって、お母さんのハンバーグは特別だから。

 楠木さんに話を聞いてもらうべく、お菓子も食べず、私語も一切せずにこの日の仕事を片付けた。そして、楠木さんの病室へ一直線に向かう。

「ちょっと聞いてよ、楠木さーん‼ まぁ、全然ちょっとじゃないんだけどさー」

 部屋に入るやいなや、壁際に置かれていた椅子を楠木さんベッドの近くまで移動させてドカッと座り、前傾姿勢で喋る気満々モードの私に、

「相当溜まってるねぇ、ななみん。気の済むまでどうぞ」

 楠木さんが「さぁ、お話しください」と右手の掌を向けた。ので、お言葉に甘え、隼人と隼人の元カノが抱き合っていたこと、その話を職場でしたら、何故かみんなが隼人の味方をして納得がいかなかったことを、息継ぎも忘れて一方的に喋りまくった。