最期の晩餐

 昼休みを終え、翌日のオーダー食のリクエストを聞きまわりに病室を巡回する。

「次は、楠木さんの部屋だな」

 少し前にゼリー食に切り替わった楠木さんを訪ねる。

「失礼しまーす」

 ノックをして楠木さんの部屋に入ると、

「ななみん、お疲れー」

 楠木さんが元気そうな笑顔で迎えてくれた。

「体調、良さそうですね」

「うん。普通のご飯が食べられなくなったから、激痩せするかと思いきや、ファミリーキッチンに置いてあるアイスが美味すぎるのと食べ易すぎるせいで、全然痩せずに元気いっぱい」

 楠木さんが肘を曲げて元気モリモリポーズを見せてくれた。

「アイスの感想、林田さんに伝えとくね。めっちゃ喜ぶよ、絶対」

 ニコっと笑顔を返したつもりだったが、

「ななみん、何かあったでしょ。いつもより元気ない」

 楠木さんにアッサリ見破られた。

「……仕事終わったら、また来てもいい? 話、長くなるから今は無理。聞いてくれる?」

 私の中では、楠木さんは【患者】というよりも【友だち】である意識が強い。友だちに愚痴りたかった。

「当然。いくらでも聞くよ。待ってるね」

 楠木さんが親指を立てながら『どーんと来い』とばかりに胸を叩いた。