最期の晩餐

 そう、私は昨晩、ネットを検索しまくり、あのクソダサいベストと原色柄Tと赤のハーフパンツに似たものを高速便で注文し、それをふたりに着せたのだ。

「隼人のお父さんの無限ポケットベストがなかなか見つからなくて、徹夜しましたよー」

 隼人のコーデは割とすぐに揃えられたのに、隼人のお父さんのベストがなかなか見つからず、『自分でポケット縫い付けてやろうか』と過った。あって本当に良かった。

「あははははははー‼ 無限ポケットベストって……。ククク……。面白すぎるわ。涙が出てきた。笑いすぎてパフェが食べられないかも」

 隼人のお母さんが、右手でお腹を摩りながら、反対の手で目尻の涙を拭き取った。

「何が母さんの為だよ。無理矢理着せやがって。パフェを食べられなかったら本末転倒じゃないか‼ 脱ぐ‼」

 隼人のお父さんが無限ポケットベストを脱ごうとするが、

「ダメよ。何言ってるのよ。パフェを食べ終わるまで着てなきゃダメ‼」

 隼人のお母さんが阻止。隼人のお母さんにそう言われては、拒否出来るはずもない隼人のお父さん。

「これ着て外に出ろって話じゃないんだからさ」

 原色柄Tの隼人が、隼人のお父さんの背中をポンポンと叩いた。ふたりのやりとりを、パチパチと何度も瞬きをしながら見ている隼人のお母さんに、

「大丈夫ですか?」

 と声を掛けると、

「隼人のうるさい配色の服装に目がチカチカして仕方がないけど、面白いから大丈夫よ」

 隼人のお母さんが、親指と人差し指で目頭を押さえながら笑った。