最期の晩餐

「一人でやるなんて大変すぎるでしょ。一緒にやりますよ」

 両手でほっぺをパチンと叩き、気合を入れ直すと、

「いいって。帰りなって。折角奈々未に来てもらえたのに、働かせすぎて身体壊されたり、このホスピタルに嫌気が刺されたりして辞められたら辛いもん。奈々未が転職してくれて本当に助かった。ありがとうね。後は私がやるから気にしないで帰って」

 美知さんが「いいからいいから」と私の頭を撫でた。

「……美知さん、毎日こうなんですか? 毎日残業してるんですか? こんな働き方、やっぱり変ですよ。ダメですよ。大体、労働基準法の残業時間、軽く超えるでしょ、こんな仕事の仕方じゃ。どうしてるんですか?」

「……まぁ、サービス的な?」

 美知さんが言いづらそうにボソボソ話す。

「ブラック企業かよ。闇すぎる。取り合えず、一緒に献立作成するので帰りません。美知さんの負担を減らせなかったら、私が来た意味ないので」

 パソコン手を伸ばし、「さっさと片づけてやる」と画面を睨みつける。

「ごめんね。助かる。ありがとう、奈々未」

 美知さんが私に向かって手を擦り合わせた。

 こんなんで良いのだろうか。イヤ、良くない。良いわけがない。でも今はそれどころではない。献立を作るのが先だ。