最期の晩餐

「二十年も前のベストなんかもうねぇわ。俺のセンス、バカにしてるだろ」

 本人も『なんだ、このベスト』と内心思っていたのだろう。隼人のお父さんが耳を赤くした。

「してないですよ。何ていうか……アバンギャルドだなと」

「アバンギャルド‼」

 私のやる気のないフォローに大笑いの隼人。

「イヤ、無限ポケットベストをめっちゃ笑ってますけど、隼人だって相当なモンよ? 柄物の原色Tシャツに真っ赤なハーフパンツとか……目がチカチカする。子どもだからまだ可愛く見えるけど、大人がやったら結構ヤバいコーデだよ」

 写真を指さし、六歳の隼人の服装を指摘。

「絶対俺の意思じゃない。父さんか母さんが選んだ服を着せられたんだよ」

 隼人が「俺はこんなセンスしてない‼」と抗議。

「絶対隼人のお父さんじゃん。このコーデは無限ポケットベスト着るくらいの人じゃなきゃしないよ」

 そうでしょ? とばかりに隼人のお父さんに視線を送る。

「俺じゃない。母さんが『もし隼人とはぐれてしまっても、すぐに見つけられるように』って選んだんだ‼ 母さんのセンスをバカにするな‼」

 しかし、正解はまさかの隼人のお母さんだったらしい。