最期の晩餐

「心が広い? 逆だろ。めちゃめちゃ短気じゃないか。すぐキレるし」

 隼人のお父さんが真顔で「はぁ?」と首を捻った。

「はーいー⁉」

 拳でテーブルを『ダーン‼』と叩いたところで、

「ちょっとちょっとー‼ 奈々未も父さんも一言多い‼ 【すぐに謝る素直な父さん】【すぐに許す優しい奈々未】でいいじゃん‼ 無駄に喧嘩しないでよ‼ そんなことよりパフェでしょ‼ 【ハッピーパラダイス】検索したけど、建物の外観とかは出てきたけど、さすがにパフェまではヒットしないわ」

 隼人が、私と隼人のお父さんの間に身体を滑り込ませた。

「ダメかぁー」

 レモン酎ハイを一口飲み、「くぅー」と唸る。

「ヒントがないなら、桃のパフェを作ってくれないか? 母さん、桃が好きだから」

 隼人のお父さんが早々に【隼人のお母さんの思い出のパフェ探し】に見切りをつけた。

 確かにもう、時間も見つかる気配もない。

「じゃあ、隼人と隼人のお父さんの好きなものも入れましょう。明日は三人分作るので、家族三人でパフェを食べながら思い出を語らってください。隼人のお母さんはきっと、隼人と隼人のお父さんが好きなものを美味しそうに食べる姿も見たいんじゃないかと思うので。隼人のお母さんは、遊園地のパフェが食べたいとうよりは、その時の思い出を振り返りたいんだと思うんです。三人で、『あの時はああだったね。こうだったね』って語り合えたら、隼人のお母さんの願いは叶うんじゃないかと……って、この時の隼人のお父さんが着てるベスト、ヤバイですね。【鞄なんか持つものか‼ 全部ベストに収納してやる‼】ってくらいポケットくっついてますね。何個あるんですか? 背中にもくっついてました? 今も持ってたりします?」

 ふいに、ポケットだらけのベストを着ている写真の中の隼人のお父さんが目に入って笑ってしまった。