最期の晩餐

「えぇー」

 唇を尖らせて面倒臭そうな顔をしながら拗ねる。

「建前とか忖度とか好きじゃないもんね、奈々未は。そういうとこ、何だかんだ俺は好きだけどね」

 隼人がハグをしながら「機嫌直してー」と私の背中を摩った。隼人の体温で心が落ち着くと、

「さっきのは隼人のお父さんが悪いのに、隼人にまで嫌な思いをさせてごめんね。お察しの通り、手足が長くて顔が小さくて、頭が良くてスポーツマンだった超イケメンの元彼ななんかいないよ、私。虚しい嘘吐いてごめんなさい」

 素直に謝る気になる。

「そっか、良かった。太刀打ち出来ない相手だったら辛いもん。……元カノ、確かに優しくて気立てもいい、とっても良い子だった。でも俺は、奈々未といる方がずっとずっと楽しくて幸せだよ」

 隼人がキザな台詞を言うから、嬉し恥ずかしで、

「そこは嘘でも『クソみたいな女だった』って言って欲しかった」

 隼人の脇腹を擽り攻撃。

「あははははははははー。やめてやめてー‼」

 脇腹の弱い隼人は、ハグしていた最愛(のはず)の私をすぐさま引き離し、笑い悶えた。それでもしつこく隼人の脇腹を攻撃し続けていると、

「もう勘弁してー。笑い過ぎて吐くって‼ こんなことしてる場合じゃないでしょ‼ 母さんのパフェ‼」

 隼人が私の手首を掴んだ。

「それな‼」

 散々脱線して、よううやく本題を思い出す。