最期の晩餐

「母さんに変な話をさせて負担を掛けるな」

 私の嫌味に隼人のお父さんが顔を赤くして憤慨。

「負担になんかならないでしょ。恋愛話と男女のいざこざは女性の関心事ですからね。隼人と美知さんの仲を疑ってる時、めっちゃ楽しそうだったじゃないですか、隼人のお母さん」

 私は意地が悪い。やられたことは、相手が謝るまでやり返す。

「~~~酒買ってくる‼」

 私と同じ空気を吸っているのが嫌になったのだろう。隼人のお父さんが拳を握りしめながら立ち上がり、リビングを出て行った。玄関のドアが『バタン』と閉まる音を確認すると、

「やり過ぎたー」

 隼人のアルバムの上に突っ伏す。私は本当に性格が悪い。言い過ぎ・やり過ぎは、加減が分からなくてやっているわけではない。最中にしっかり気付いているのに、やり続けてしまう。譲らなくとも少し引いて、最後に「でもやっぱり隼人のお父さんが悪いですよ」とサラっと対応すれば良いものを、相手の悪意を感じ取ってしまうとそれが出来ず、降参するまで攻めてしまう。

「気にしなくていいよ。今のは父さんが悪い。奈々未は何も悪くないから」

 隼人が「よしよし」と私の髪を撫でた。

「だよね⁉」

 ガバッと上半身を起こし、隼人に顔を向けると、

「『だよね⁉』って……。まぁ、そうなんだけど、嘘でも『そんなことないよ』くらい言って欲しかったかも」

 隼人が困った顔で笑った。