最期の晩餐

「印象最悪ですけどね、林田さん」

 荒めの息を鼻の穴から盛大に吹き出していると、

「まだごちゃごちゃ言ってんのか? さっさと仕込みするぞ。手を動かせ、新人」

 用を足し終わり、手指の消毒を済ませた林田さんが戻ってきた。

「…………」

 返事をするのが癪に障り、生意気にも無言で作業に取り掛かる。そんな私の態度に、美知さんと森山さんが困った顔をしていたのは勿論気づいていたが、林田に腹が立ってにこやかに仕事が出来る心情ではない。

 四人で朝食の支度をし、その後は病棟訪問、調理場に戻って昼食を仕込み、手が空いたところで食材の在庫管理等の事務処理、また調理場に戻って夕食の準備……。

「……ふぅ」

 あまりの忙しさに、デスクに突っ伏し転職を若干後悔し始めていると、

「奈々未、もう上がっていいよ」

 美知さんが私の肩に手を置いた。

「何言ってるんですか? まだ全然献立作ってないじゃないですか」

 調理場で作業をしながら、『献立を作る時間っていつなの?』と首を傾げていたら、就業時間がやってきて、初日から残業が決定するという悪夢。

「私が作っておくから、奈々未は帰りな。お疲れ様」

 美知さんが「また明日ね」と手を振った。