最期の晩餐

「…………」

 美知さんの言い分は理解している。今の時点でも切ない想いがあるのに、楠木さんがいなくなってしまったらと思うと怖くて、苦しくて、辛い。

でも、自分の接し方が間違っているとはどうしても思えない。この考え方を、後悔することになってしまうのだろうか? 後悔なんか絶対にしたくない。楠木さんにとても失礼なことだから。

 だけど、楠木さんはいずれいなくなる。私は取り残される。悲しい想いをするのは自分であることは分かりきっている。

回避できない事柄への対処の仕方が分からない。

 美知さんに返事が出来ずに下を向いていると、

「ボサっとすんな、手ぇ動かせ」

 林田さんが私の背中を軽くど突いた。

「パワハラ超えて、暴行罪だぞ」

 林田さんに鼻息を吹き散らかすと、

「距離を置くのも、親身になるのも正しい。正解を当てれば辛い想いをしなくて済むかって言ったら、全部が全部そうじゃない。正解が複数あるなら、他人の回答じゃなくて、お前が選んだ答えでいいと思うぞ」

 林田さんが私だけに聞こえるように、ボソボソ小声で喋った。

 大切な奥さんを亡くした経験のある林田さんの言葉は説得力があり、スッと私の中に入ってきた。