最期の晩餐

 翌日、岡村さんから回答済みのリストを受け取ると、調理場へ。

「岡村さんが食べたがっていた煮しめの件ですが、新潟の郷土料理であるのっぺの可能性が高いです。のっぺは、各家庭によって入っている具材などがだいぶ違うらしいので、岡村さんに思い出せる限りの具材をピックアップしてもらいました。そして、作り方はこちらです」

 岡村さんのリストと共に、画面にのっぺの作り方が映されたタブレットを調理台の脇に立てかけた。

「具の量、すげぇな」

 林田さんがリストを見ながら少しビックリしていた。

「具材は私が切りますよ。クックチルが入ったおかげで時間にゆとりが出来たし、これくらい何てことないわ。材料、買い出しに行ってきまーす」

 森山さんが「任せなさい」と右手の肘を曲げ、二の腕に筋肉の山を見せた。森山さんは今日もお茶目でかわいい。

「良く調べたね、奈々未。偉いぞ」

 美知さんはカツアゲしてもないのに褒めてくれた。でも、

「実は、楠木さんに教えてもらいました」

 自分の手柄にするのは忍びなくて、正直に白状すると、

「……大丈夫なの? 患者さんとあんまり親しくなっちゃうと……辛くなるよ」

 美知さんが心配そうに、遠巻きに『患者さんとは距離を保った方がいい』という旨を目で訴えてきた。