最期の晩餐

 岡村さんは料理に詳しい方ではないので、具材の他に、片栗粉が入ってたかどうかまでは分からないかもしれないなと、【トロミは強かったか、弱かったか】【汁気は多かったか、少なかったか】【温かかったか、冷たかったか】【イクラは赤かったか、白かったか 】の項目も追加した。

 出来たリストを早速岡村さんの病室へ持って行く。

「すいません岡村さん。ちょっと手間なんですけど、このリストの該当するものを〇で囲んでもらえませんか? 覚えている限りのもので大丈夫ですので。煮しめ、リトライさせてください」

 リストを岡村さんに手渡すと、

「うわぁー。こうしてもらえると答えやすい。この回答、明日でもいいですか? 今日の夜、ゆっくり思い出しながら〇付けたいから」

 岡村さんが嬉しそうにリストに目を通した。

「もちろんですとも‼ よろしくお願いします‼」

 今度こそ、岡村さんの希望に近い煮しめが作れるかもしれない。岡村さんの病室を出ると、ウキウキでついスキップしてしまった。

「奈々未、病棟でスキップしない‼」

 まんまと美知さんに見つかり怒られた。

「すみませーん」

 この仕事は好きだ。転職して良かったと思う。ただ、喜びをスキップで表現出来ないのが唯一残念なところだ。