最期の晩餐

「図々しいな。私はお金を払って入院してるお客様だぞ」

 楠木さんが呆れながら笑った。

「友だちって言ってくれたじゃーん‼」

「嘘だって。いいよ、教える。おいで」

 楠木さんが手招きをしたので、さっきまで座っていた場所に戻り、白衣のポケットからメモ帳とボールペンを取り出しながら、楠木さんの説明を書き取る。

「本当にこんなに具入れるの? 多すぎじゃね?」「あ、面倒臭いなとか思ってるでしょ。サイテー」「思ってないよ‼ ただ、大変だなって思っただけじゃん‼ どっちかって言うと、楠木さんのお母さんのハンバーグを探し出す方が苦労したからな‼」「お? 私に対する文句か?」「違うよ‼ 患者さんのリクエストに応える為にめっちゃ頑張ってるんだぜ‼ っていう恩着せがましいアピールだよ‼ 褒めろよ‼ ていう要求だよ‼」「褒めのカツアゲしようとすんな」などという脱線トークをして笑いながら、無事に楠木さんのおばあちゃんののっぺレシピの取得に成功。

 楠木さんと仲良くなれて嬉しい。楠木さんとのお喋りは楽しい。でも、楠木さんの余命はそんなに長くはない。鼻の奥がツンとする。

 栄養管理室で楠木さんのおばあちゃんのレシピを参考にしながら、ネットでのっぺの具材を調べて書き出し、せっせとのっぺリストを作成。