最期の晩餐

「喧嘩売ってんのか、コラ‼ お前らに食わせるためのアイスじゃねぇんだよ‼」

 林田さんがアイスを取り返そうと手を伸ばしたが、三人とも華麗に身を翻して死守。

「えぇー。職員も食べられるようにしましょうって話だったじゃなーい」

 森山さんが頬っぺたを膨らませてプリプリと怒る。

「そうですよ‼ 患者さんだけじゃなく、職員のリクエストも聞くべき‼」

 美知さんが森山さんに加勢。

「はーい‼ 私、チョコバナナ味が食べたいでーす‼」

 私は右手を高く挙げ、職員代表としてフレーバーのリクエスト。

「いいねぇ‼」「食べたーい‼」

 美知さんと森山さんが【賛成】の拍手をくれた。

「他の職員の要望は聞いても、お前らのは受け付けん‼ ……でも、味は悪くないんだな?」 

 自分勝手な私たちに腹を立てながらも、自分が作ったアイスが喜ばれたことは嬉しいらしく、林田さんは少しだけ口の端を上げた。

「悪くないっていうか、めっちゃ美味しいです。アイスって、口の中で溶けて水分になってくれるから、ゼリー食の患者さんにも楽しんでもらえると思います。林田さんの提案、滅茶苦茶いいと思います‼ 院長もすぐに了承してくれると思います」

 美知さんが「あーあ。もう食べ終わっちゃった」と空にになったアイスのカップを林田さんに見せながら笑った。